So-net無料ブログ作成
読書感想文 ブログトップ
前の10件 | -

『点と線』ここがすごい [読書感想文]

一昨日の産経新聞朝刊のテレビ欄の、松本清張の『点と線』を扱う番組を紹介する中で、
「荒唐無稽なトリックが中心だった従来の探偵小説に対抗し、犯罪に至るまでの心の内面や動機を描いた清張ミステリー」
という一文がありました。
一般的な評価でしょう。
しかし、これを『点と線』に当てはめようとすると、ちとツライと言わざるを得ません。
なぜならば、この作品は「バカミス」だからです。
ちなみにバカミスとは、「荒唐無稽すぎてギャグになってしまっているミステリー」を指す近年の造語です。

では、『点と線』のどこかバカなのか?
推理小説の解説をするときはネタバレに留意しなければいけないので、慎重に書きますが、

・園児でも1秒で気付くメイントリック

・その他低レベルなトリックにいちいち悩む警察の低能さ

この2点に尽きるでしょう。
従来、トリックとは不可能犯罪を演出するためのものですが、本作品のメイントリックはそもそも謎ですらありません。
警察が右往左往する状況そのものが荒唐無稽です。
また、サブトリックは捜査が進むうちに意外すぎる前提が披露され、読者は「最初に言えよ!」と突っ込むことになります。
そもそも読者が全容を推理できないタイプの作品ですから仕方ないのですが。
主なトリックが「舐めるな!」と「知るかよ!」という脱力すべき代物ですから、火曜サスペンス劇場や土曜ワイド劇場に親しんだ世代から見ると、たいそう食い足りません。
増してや、金田一少年やコナン君に親しんだ世代からは鼻で笑われるでしょう。

というのも、もともと『点と線』は「旅」という旅行雑誌に連載されていたので、主なトリックも交通機関にまつわるもので、謎解きのカタルシスより旅情を優先させたものであります。
すると、少なくとも本作品に限れば「従来の探偵小説」と「新たな社会派推理小説」という対立軸は的外れとなります。
元来「トラベルミステリー」を企図して書かれたのですから。
動機の背後にある社会構造と人間心理に肉薄した犯罪小説であるとともに、お粗末なトリックのインパクトが悪目立ちする推理小説でもある、不思議な作品ですが、「トラベルミステリー」として最も高く評価されるべきでしょう。
それなりの社会性と叙情、肩透かしのカタルシスと絶品の旅情が詰まったお得な作品と言えるかもしれません。

ちなみに、続編にあたる作品に『時間の習俗』がありまして、そちらは推理小説としてもなかなかの名品です。
すごく地味ですが。
nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『怖い絵』(一部改) [読書感想文]

自分は一応、かつて美術系でした。絵画鑑賞も趣味のひとつです。
しかし、美術作品に対するこういう楽しみ方には思い至りませんでした。

本書はタイトル通り「怖い絵」について述べた本ですが、有名どころではジェリコーの『メデューズ号の筏』、ムンクの『思春期』、ゴヤの『我が子を喰らうサトゥルヌス』(トラウマ必至!見たことの無い人はこのタイトルでググってみよう。怖いぞ!)などの見たまんま怖い絵はもちろん、ぱっと見ただけではどこが怖いのかわからない作品も、取り上げられています。
その場合は扉絵で「これのどこが怖いのか?」と思わておいて、本文でその作品の成り立ちから題材、さらには画家の生い立ちにまで踏み込んで、広く深いデータの海から怖い要素をピックアップし、ババーンと提示するわけです。
歴史の裏舞台、難病、悪意…。これがまあ、どれもこれもピンポイントで怖いんです。
例を挙げますと、最初の作品は、バレリーナを描いたドガの傑作『エトワール、または舞台の踊り子』なんですが、華々しさと儚さの入り混じった淡い夢のような作品も「当時のバレリーナは多くが上流階級の囲いものだった」という事実を踏まえると、がらりと様相を変えます。
いわば我が国における「芸者」と同じような境遇なので、過酷な生活から脱却するには芸を磨くのはもちろんのこと、強力な(財力を持った)パトロンをゲットしなければいけません。まさに生き馬の目を抜くような過当競争の世界です。
今まさに舞台袖から中央へ踊りだしたバレリーナの一瞬の動きを見逃さぬほど、ドガは常日頃から彼女たちに密着していたのです。半分は娼婦でもあった彼女たちから意識されなくなるほど、ぴったりと寄り添い、制度批判も哀感も抜きに、執拗にスケッチを続ける画家。
これは…いろんな意味で怖いです。

従来の芸術作品の鑑賞基準は「美」という、移ろいやすくて気紛れな、「噂」と紙一重の液体的概念です。
しかし、本書は「怖いもの見たさ」という、普遍性と野次馬根性の融合した強固な欲求を基準にしたことで、「教養としての美術鑑賞」から来るとっつきにくさを軽減し、より気軽に歴史的絵画に向き合うきっかけを与えてくれます。
「美」が本来気付くもの、見いだすものであるのに対して「恐怖」は感じるものです。(従って、身内の画家がパクりの常習犯であることに気付かなかった我が国の一部の批評家連中の意見など気にする必要はないのです)
「恐怖」は、意識を経由する「美」よりはるかに身近で切実な感覚ですから、頭で理解するのではなく、肌で感じながら
「次は何だろう?」
と、まるでお化け屋敷を進むように無心でページをめくっていました。
名付けて「肝だめし鑑賞法」。
これは自分にとって全く新しい鑑賞体験であり、知的冒険でした。

自分が立ち位置を変えることによって、今まで見えなかった部分が見えてくることを教えてもらったような気がします。
怖い絵

怖い絵

  • 作者: 中野京子
  • 出版社/メーカー: 朝日出版社
  • 発売日: 2007/07/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



ちなみに表紙はラトゥールの『いかさま師』です。

nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『実録・アメリカ超能力部隊』 [読書感想文]

実録・アメリカ超能力部隊

実録・アメリカ超能力部隊

  • 作者: ジョン・ロンスン
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 文庫

閉店時間間際の某巨大書店でタイトルに惹かれて衝動買いしました。
これがまた面白く、意外な収穫でした。

ベトナム戦争の後、アメリカ陸軍は疲弊し進むべき道を模索していた。
自分たちは正義のために戦ったにも関わらず何故現状はこのように惨めなのか。もし借りに間違っていたならば、どこに向かえばいいのか?
ベトナムで精神的に大きなダメージを受けて帰還したある中佐は、折りしもアメリカ西海岸で巻き起こっていたムーブメントに感銘を受け、軍のこれから進むべき道を「第一地球大隊構想」としてまとめた。
いわく、
子羊のような「象徴的な動物」を携えて自発的な抱擁でもって敵に和平を求める「きらきらした瞳の」兵隊。(この方法が失敗したら持参した拡声器から不協和音を流す)
「あらゆる人間を愛し、植物のオーラを感じ、子供と木の苗を育てる」兵隊。
「壁のような物体を通り抜けたり、未来を予見できる」兵隊。
女性蔑視に繋がる古い好戦的な掛け言葉に換えて「オーム」と唱える兵隊。
彼らの理想像は「戦闘僧」であり、以後「歌と踊り」と「欲望を捨て去ること」が格闘術と同じくらい重要な訓練の一部となる…。

とまあ、若干夢見がちながらとりあえず平和的な解決を旨とする大胆な軍隊のモデルを彼は上層部に提案します。
これがなんと受け入れられてしまい、「第一地球大隊」がめでたく誕生するに至ります。
以後、この構想はその後の時勢に合わせて様々な変容を遂げていくのでした。

前半部では「第一地球大隊」の成立と、その活動の余波が喜劇的に描かれます。
だって、「スーパーパワーを持った兵隊を作り出す『ジェダイ計画』」とか、「実験動物を使って、見ただけで相手を殺せる術を磨く『山羊実験室』」とか言わたら笑うしかありません。この本の前1/3は「超能力」をメインに話が進行していきます。
しかし後半部では同じ「第一地球大隊構想」から考え出された恐るべき計画と実験が、洒落にならない迫力で静かに語られていきます。
それは武力によらず敵をコントロールし精神的に破壊するための様々な技術が、アメリカの法の及ばない場所で研究されてきたことを示唆するものです。その場所として指摘されるのはイスラム教徒を多数収容しているとされるキューバのグアンタナモ基地と、イラクのアブグレイブ刑務所です。

他にも、このヒッピーの妄想全開とも思えるアイディアを追っていくうちに思いもかけない事件や技術に行き当たります。ヘブンズ・ゲート事件、ブランチ・デイビディアン事件、サブリミナル・コントロールから果てはインターネット技術まで。
著者が導くこれらの過程は、アメリカ軍という世界一巨大な武力組織が敗北を契機に「人間同士の摩擦を、自分が変わることで解決するか、他者を変えることで解決するか」という武力行使の根底にあるテーマを突きつけられ、それを乗り越えようとするプロセスでもあります。
そのプロセスは「テロとの戦い」という名で現在も進行中なのです。

2年に及ぶ取材を無駄なくまとめてあるので外国もののノンフィクションとしてはたいそう読みやすく、テーマのとっつきやすさも手伝って一気に読み通しました。
昨今の陰湿とも思えるアメリカ軍の行動を理解する一助となりうる…かもしれません。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『甲賀忍法帖』 [読書感想文]

先日、彼女と「ダメ映画を見よう」という趣旨で『SHINOBI』を見てみました。

SHINOBI

SHINOBI

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • 発売日: 2006/02/18
  • メディア: DVD


予想を上回るあまりのダメっぷりに愕然としました。
オダギリジョーと仲間由紀恵の共演がセールスポイントでしたが、前者はミスキャストでした。時代劇の素養がありません。彼が出演した時代劇映画では『あずみ』の役柄の方が時代劇っぽくないので面白いです。
仲間由紀恵を含むほかの出演陣は頑張っているのですが、いかんせん最近の我が国の話題作にありがちな映像の美しさと不釣り合いな編集・脚本の稚拙さが目に付きました。「お話」のレベルですでにつまらないのです。
どうも昨今の『HERO』や『グリーン。ディステニー』といったコミカルなアジア系綺麗綺麗路線をねらったのかもしれませんが、もっさりした展開は苛立ちがつのるだけした。

そこで「親の顔が見たいわい」と原作を読んでみたのですが、恐れ入りました。

甲賀忍法帖 (角川文庫)

甲賀忍法帖 (角川文庫)

  • 作者: 山田 風太郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2002/12
  • メディア: 文庫


いちおう、『SHINOBI』の原作ということになっていたので、「親」という表現を使ってみたのですが、違いました。よく考えたら親子ではなく、血縁もなく、同姓ですらなく、たんに字が似てただけでした。
そう、「佐々木さん」と「代々木さん」を間違えたようなものだったのです。
だって、こっちの方が桁違いに面白いんですから。もちろん、本には「お話」しかありません。

魅力に欠ける長男・竹千代か、聡明な次男坊・国千代か。
豊臣氏との最終決着を前に、三代将軍の継承問題に悩んでいた家康が採った「賭け」。
それは常識破りの忍術を駆使するという2つの相反する隠れ里からそれぞれ10人ずつの精鋭を選出し、竹千代方と国千代方に分けて殺し合いをさせるというものだった。
驚倒・唖然・奇抜・妖艶・凄絶…。
合計20名の異能の忍たちの死力を尽くした闘争が幕を開ける。

とまあ、導入部はこんな感じですが、『SHINOBI』では大人の都合で5人ずつに減少。この時点で面白味も半減です。
それにしても彼らの操る術のなんと奇想天外なことか。肥満体やら老人やら美女やら毛むくじゃらやらが伸びるわ縮むはしなるわ溶けるわ吹くわ吐くわ…。
人体の不思議とか体力の限界とかそういったレベルはかるーく超えて、もはや超能力の領域に突入しています。X-MENもびっくりです。
ところが、これらてんで無節操とも思える奔放な能力の数々が、シチュエーションと組み合わせによって実に劇的に反応し、ストーリーを予想もしない方向へ牽引していきます。
単なる奇想にとどまらず、それらのエッセンスをパズルのごとく組み合わせて壮大な伝奇のタペストリを織り上げてしまう山田風太郎の力量には感服するばかりです。
「時代劇」や「伝奇アクション」といった従来の枠組みに収まらない、まさに「山風ワールド」とも言うべき、エロエロでグチョグチョなのに何故か心地よい世界にどっぷり浸かってもうウットリなのでした。

それにしても、「忍法」という設定を足がかりに大きく跳躍する「やりたい放題」っぷりに似た事例に心当たりがあります。
この構造は荒木飛呂彦さんの『JOJOの奇妙な冒険』シリーズに登場する「スタンド」概念にそっくりです。
彼女と「ぜったい山風の影響受けてるよね」と盛り上がったものです。
というわけで、JOJO好きな方、スタンド使いを自任する方(笑)にもオススメなのです。


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『ロートレック荘事件』 [読書感想文]

久々にミステリの読書感想文いきます。

ロートレック荘事件 新潮文庫

ロートレック荘事件 新潮文庫

  • 作者: 筒井 康隆
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1995/01
  • メディア: 文庫

筒井康隆さんといえばSF、ファンタジー、ホラー、ミステリなどまさしくジャンルを問わずハイレベルな(というより比類の無い)作品を発表し続け、また作家のみならず俳優としても渋いお仕事をされている、世に言う「天才」です。
本作は「このトリックはすごい」とのウワサを聞きつけ拝読したのですが、確かに凄い!開いた口が塞がらないとはまさにこのことです。
最初から最後まで無駄の無い、計算しつくされた素晴らしい推理小説です。

別荘地の外れに聳える洋館「ロートレック荘」。オーナーに招かれた主人公たちと3人の美しい娘たち。次第に花嫁選びの様相を呈してきたバカンスを2発の銃声が打ち破る。
続いて起こる第2、第3の惨劇。犯人はこの中にいるのか?動機は…?

とまあ、典型的な本格推理小説の舞台設定なのですが、そこは筒井氏。とんでもないどんでん返しが待っています。
ネタバレが怖いので詳しくは言えませんが、この種のトリックをここまで豪快に使いこなした作品を他に知りません。しかしながらどういうわけか推理小説界ではあまりこの作品は重視されていません。
これほどの作品を「天才の余技」のひとつとして扱い、氏個人の業績としてのみの語り草にしておくのはあまりに惜しい。ミステリファンにこそ是非読んで欲しいと切に願います。
自分自身これからは食わず嫌いをせず、いわゆる「畑違い」の作家の書いた推理小説にも積極的に触手を伸ばしてみようと、おおいに反省したしだいです。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

子供が読めちゃう性奴隷漫画 [読書感想文]

昨日は彼女とマンガ喫茶へ行って来ました。
不健康と言うなかれ。外は寒かったのですよ。

さて、自分が読んだのは彼女が「絶対面白い(ネタ的に)」と強くプッシュした『覇王・愛人』(ハオウアイレン)。

覇王・愛人 7 (7)

覇王・愛人 7 (7)

  • 作者: 新條 まゆ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2003/11/26
  • メディア: コミック

かたや彼女には自分から『ジョジョの奇妙な冒険』から大好きな第2部を薦めました。

ジョジョの奇妙な冒険 (6)

ジョジョの奇妙な冒険 (6)

  • 作者: 荒木 飛呂彦
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1988/10
  • メディア: コミック

自分はJOJOの方はすでに知っているので、ここでは『覇王・愛人』について思うところを語っていきたいと思います。

『覇王・愛人』の筋をかいつまんで説明しますと、ごく普通の女子高生秋野来実(くるみ)は苦しい家計を支えるための深夜バイトから帰宅する途上、うっかり美形の怪我人を助けてしまいます。彼が香港マフィア「龍王社」のボス、黒龍(ハクロン)だったからさあ大変。学校からいきなり香港へ拉致(のちに監禁)され、肉体的にも精神的にも酷い目に遭い続ける、というものです。
過不足無くジャンルを位置づけるならば、「性的虐待風味の純愛希求型セックス漫画」です。
とにかく主人公と、彼女を取り巻く美形キャラはとっかえひっかえひっきりなしに、まるで自転車操業型町工場の工業機械のようにセックス(あるいは未遂)ばかりしています。むしろ、巻が進むごとにセックスの合間にストーリーが進行していく感が強くなっていきます。
最近の少年漫画におけるこの手の描写に対する規制は凄まじいらしく、昨今ではパンチラ描写さえ憚られるのだそうですが女子小中学生向け漫画である本作(2002~2004年に連載)ではパンチラうんぬんなんて芥子粒と化す程の高次元の描写がてんこもりです。
売春、強姦、監禁、拷問、殺人…etc…。
絵柄以外の要素は、暴力と性描写が横溢していたふた昔前の劇画にさえ通ずるものがあります。
単発的に目に付いた突っ込みどころとしては、「龍王社の中には誰一人として責任感のあるキャラがいないのでとても犯罪集団とは思えない」とか「主人公の胸が巻を追うごとに肥大していく」などがあり、全体のストーリー進行もどこかしら誰かからの入れ知恵めいていますがあえて無視して次へ行きます。

絵の方は劇画的な内容の割に説得力の無さが目に付きます。特にアクションシーンを読んだときの脱力感は是非体験して欲しいところです。
興味深いことに、『ジョジョの奇妙な冒険』と『覇王・愛人』は、人体のデッサンに狂いが生じている点で共通しています。
ただし、結果論として狂いが生じているだけで、
①それが作者の意図しているものかどうか。
②それが効果を挙げているかどうか。
などの要素に大きな隔たりがあるように感じました。
また、背景も薄味です。香港の街並みの描写では非常に写実的で密度が濃いコマと定規とトーンを多用した描き込みの薄いコマに大別できますが、前者は写真を加工したものです。
試しに彼女が読んでいた『ジョジョの奇妙な冒険』の第2部冒頭の1938年のニューヨークの描写と見比べて、愕然としました。

台詞も印象深いものが多く、黒龍の3つめと4つめのセリフからして既に
「いいか…今度騒いだらその時は」
「この場でお前を犯(や)る」
なので、あとのテンションはご想像にお任せします。

最後に当ブログでこれまで紹介してきた作品を引き合いに出しますと、
① 「性的虐待」と「純愛」の比重を反転する。
②舞台を現代香港から100年前の吉原遊郭へ移す。
③ファンタジー溢れる人体デッサンを、夢想を打ち砕くほど現実的なものに描きかえる。
④ヘテロセクシュアルの絡みをホモセクシュアル(♂×♂)へ置き換える。
などの加工を加えると(つまり性的な部分だけを別の路線へ転化するならば)、かつてこちらの記事で紹介した『銀の華』(http://blog.so-net.ne.jp/kurohiko/2007-01-15)にかなり接近します。と、ここではそういうことにしておきます。
『覇王・愛人』を読みおえたなら、こちらも読んでみてください。読後の気分は全く保障しませんが。

斜に構えた視点から読むのならば楽しめる作品ですが、正直、隣で彼女が読んでいた『ジョジョの奇妙な冒険』に目移りしまくっていました。
ただ、自分は主人公がここまで執拗に性奴隷として仕込まれていく少女マンガを初めて読みました。
人生何事も経験ですね。


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:コミック

ゲイコミックを読んでみた [読書感想文]

皆さんこんにちは。ノンケのクロヒコです。
この度彼女からゲイコミックを借りたので、そのレビューなどしてみます。
禁断の小窓の奥を覗いてみようという勇気のある方はこの先へGo!

続きはこちら


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:コミック

『ほうかご探偵隊』 [読書感想文]

「かつて子どもだったあなたと少年少女だったあなたのための」
という触れ込みで実力派のミステリ作家を起用している講談社の推理小説シリーズ「ミステリーランド」。
孤独でクールで、なにより独身貴族の名探偵になれなかったミステリファンが、己の業を我が子に継承させるにはうってつけの企画なんですね。

ほうかご探偵隊

ほうかご探偵隊

  • 作者: 倉知 淳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/11
  • メディア: 単行本

しかし倉地淳。やってくれるぜ倉地淳!(語感の都合で敬称略)
日本ミステリ大賞受賞作『壺中の天国』において、様々な町の住人の視点からそれぞれの「世界」を活写した力量がいかんなく発揮されています。
名探偵が超人なのはミステリの鉄則とはいえ、たいがい大人が「子ども」や「若者」を書くと、作者の観念が滲み出したみじめな結果として「子どもの体におっさんの思考を備えた妖怪」が誕生しがちです。(江戸川乱歩賞のアレとかアレとか)
しかし、本作からは「大人の事情」臭がしません。超人であるはずの名探偵さえ、きっちりと子どもの世界観から行動します。

制作者が興味を失った絵。あまり可愛がられていなかったニワトリ。出来の悪い貯金箱、もう使わないソプラノリコーダーの真ん中のパーツ。
これら、無くなっても誰も気にしないようなモノが次々に消えてしまう事件が発生。縦笛の真ん中のパーツを盗まれてしまった小学5年生の主人公は友達の龍之介君とともに捜査を開始するが…?

作中で主人公が絶賛している「少年探偵団シリーズ」。特にシリーズの前半は荒唐無稽なストーリーでありながら、ミステリの面白みが優しい言葉で凝縮されています。
この『ほうかご探偵隊』でもミッシングリンク、密室トリック、複線、ミスリード、どんでん返しなど、本格推理小説に不可欠なエッセンスが巧みに織り交ぜられており、その手並みの鮮やかさにはう~むと唸らざるをえません。
子供ならではの特例やほのかな恋心、大人への視点などもきっちり盛り込まれており、語り口はのほほん、結末もほんわかとしており、後味すっきりでして、このあたりは倉知淳さんの独壇場と言っていいでしょう。
また、最近の作品でタッグを組んでいる唐沢なをきさんのイラストもい~味出してます。

子供もラクじゃないけれど、若いうちにこんな楽しい本を読めるなんて、うらやましくなっちゃいます。
是非是非、全国の小学校の図書室に置いて欲しい作品です。
あと最後に。
「小学5年生経験者必読!」って煽り文句が大好きです。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『格闘する者に○』(修正版) [読書感想文]

格闘する者に○

格闘する者に○

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/03
  • メディア: 文庫


友人から薦められて読んだ三浦しをんさんのエッセイ、『人生激場』が面白かったので、デビュー作を読んでみました。
軽快な語り口は心地よく、不器用な会話はもどかしく、実際に作者と同世代ということもあっていいペースで読めました。
大雑把に紹介しますと、就職活動に奮闘する女子学生の日常と家族模様なのですが、女子でもなければ就職活動も全くしなかったにもかかわらず、身勝手なシンパシーを覚えてしまったのには「社会に対する距離感」がとても身近だったからです。

この作品では自分の立場にこだわっていっぱいいっぱいな人も、相手の気持ちに遠慮して不器用になってしまう人も登場します。世の中では大抵、前者の社会的地位が高いということになっています。
閉鎖的で、意味不明で、偉そうな、でも吸引力のある「社会」。演歌が勝手に「歌謡曲」を名乗っているように、第三次産業が「社会」を僭称するようになって、それが都市部では定着しつつあります。実はもともと分類しづらいカテゴリを我田引水しているだけなのですが。
競争率の高い大企業の面接の様子を説明するときに「他人を蹴落としてでも、という気概がないんです」と主人公は溜息をつきます。
しかし後半、そんな主人公を「社会サイド」とは異なる方向の住人たちがより広い社会の枠組みの中で、自分のやるべきことをしっかりとこなす事で励まします。
己の思いに忠実に生きる人たちと主人公の別れのシーンは印象的でした。

自分が見出した本作のテーマは、冒頭の寓話の中、特にその最後の一行に集約されています。
この寓話は目次にも登場せずにいきなり現れて面食らいますが、物語を全部読み終えた後でもう一度読み直すと、その本格ミステリのような配置の妙に唸りましたよ本当に。
(って、そんな深い意味はなかったりしたらどうしよう。まあいいか、感想文だし。)

最後に、文庫巻末の重松清さんの解説も○。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『ソラリスの陽のもとに』 [読書感想文]

私たちは経験知に繋がれています。かつて他の何物にも似ない化け物が作られたためしが無いことなど、その証左と言えるでしょう。想像もつかないものは意識すらできないのです。
この現象を宇宙規模に拡大したらどうなるか。 社会も定形も持たない未知の生物に対して「ひとりの人間」として対応せざるを得ない状況…それを突き詰めたのがこの本です。。

ソラリスの陽のもとに

ソラリスの陽のもとに

  • 作者: スタニスワフ・レム
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1977/04
  • メディア: 文庫


表面のほとんどを意思を持つ海に覆われた惑星ソラリス。そこにある宇宙ステーションへやってきたケルビンは、最初に会った隊員スナウトに、ここで勤務していた友人が自ら命を絶ったことを知らされるが、その理由は聞きだすことができない。スナウトの不可解な言動に戸惑う主人公だが、眠りから覚めたとき、事態は一変する…。

上手いな、という印象です。
冒頭で気になる大きな謎をまず提示して、SFならではの長くて理系な説明文は次の章にまわしたりして、物語の経過と舞台の説明のバランスに気を使っています。その配慮のおかげで割合ストレス無く読み進めることができます。いや、実際はコンスタントなストーリー展開のおかげですぐにのめり込んでしまうのですが。
あと、会話のシーンの台詞の使い方、単語の選択が恐ろしく的確かつ効率的でして、これは訳者さんの力量も伺えます。面白いSFを読んでいると「これ書いた人、本当に頭いいんだな~」と思いますが、本書の作者、スタニスワフ・レムという人は単に優秀な頭脳を持っているだけではなく、人の心を深く洞察できる感性を持ち合わせていることもわかります。この本は知的興味をそそるSF作品であると同時に、一風変わった恋愛小説でもあるのです。
作者自身は、人間の予測を完全に超越した地球外生命体とのファースト・コンタクトがテーマであると言っています。人間の経験知が通用しない存在、ソラリスの起こした行動に対して主人公はあまりにも人間的な反応をします。未知の存在に対するとき、それは意識していなかった自分の姿を思い知らされることになるのです。
作者が「人間らしさ」の拠り所に選んだのが「愛」です。取り返しのつかない過ちを見せ付けられながらも自らの愛を突き詰める主人公の苦しみは、読んでいて胸が締め付けられるようです。しかしそんな個人の苦悩さえ、宇宙レベルでは何の意味もなさない…。
独創的な地球外生命体のアイディアと、ヒューマニズムへの深い洞察が本書を名作たらしめていると言えましょう。

ソラリス

ソラリス

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2004/04/02
  • メディア: DVD

さて、『オーシャンズ11』の監督、スティーブン・ソダーバーグがリメイクした映画も見てみました。
こちらは「ファースト・コンタクト」と「ラヴ・ストーリー」の比重が原作とはものの見事に逆転していました。いわば、SFとしての設定を枕にした恋愛映画です。
原作で多くのページを割いていた、惑星ソラリスの特徴から来る知的な興奮は絶無です。
じゃあダメか、というととんでもない!近年のアメリカのSF映画にあるまじき(失礼!)詩情を感じる、静かで、繊細で、優しい作品だと思います。映像も音楽も高水準だと思いますし、なんといっても主演のジョージ・クルーニーの演技が素晴らしい。
一応アマゾンの評価も見たのですが、これがまた面白いのです。SFファンと映画マニアっぽい人はくそみそにけなしてますが、日常レベルに復帰可能ぐらいの映画ファンは絶賛しています。人によってここまで評価の分かれる映画も珍しいんじゃないでしょうか?(このあたり、オタク層からはそこそこ支持されて、映画ファンの神経をきっちり逆撫でした『CASSHERN』を思い出します)
退屈で寝そうになる、という意見も目立ちましたが、少なくとも自分は、この作品では眠れません、ていうか、むしろ目が離せませんでした。
あと、映画化作品としてはソ連のタルコフスキーの『惑星ソラリス』(1972)もあり、そちらは見ていないのですが、『ソラリス』ともどもレム氏自身は憤慨してるそうです☆

原作の『ソラリスの陽のもとに』と映画の『ソラリス』に共通して言えることは、休日前の夜にでも一気に見よう、ということです。
そうすれば、質こそ違え素敵な余韻をたっぷり堪能できますから。


nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
前の10件 | - 読書感想文 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。